「益子大仏」


益子町・観音寺永代供養塔
「益子大仏」(大日如来)

(2014 栃木県益子町)


益子大仏


高さは台座部分を含め約2m70cm(本体2m20cm)。
一体のものとしては日本でも最大級の大きさです。
 
 

制作過程


益子は焼物の町である。濱田庄司が民芸の里として有名にした。民芸店が並ぶメインストリートの一隅に、観音寺という真言密教のお寺がある。町を見下ろす墓地に、永代供養塔を建立することになった。
 
馬場住職からそのデザインを頼まれ、どうせなら、新たな益子のシンボルになる陶製の大仏をつくろうということになった。
馬場住職はかつて益子の町おこしで太鼓集団が出来た時の仲間である。この時、益子ならではということで、陶製では世界で最大級の打ち面が90cmある大太鼓をつくった。
陶で大物をつくる技術が買われて、今度は更に大きいモノに挑戦することになった。
 
蓮台も含めれば、高さが2メートル70センチもある。本体だけでも2メートル20センチ、重さは焼上げで約800kg、それを単体でつくるのだから、無謀としか言いようがない。しかし、体力的にも年齢的にも最後のチャンス。今しかないと自分に言い聞かせ、敢えて引き受けることにした。
モチベーションを上げ、それを維持する為、釈迦の聖地であるインドを訪れたりもした。
あまりの大きさの為、移動不可能なので、益子で一番大きな窯を借り、その台車の上で制作した。それでも窯の天井を削り、なおかつ大仏の頭をカットしなければ、窯に入りきらなかった。原型の型取りは、それを専門としている、彫刻家の藤原彩人とその仲間に協力してもらった。
これまでの技術の集大成のつもりで挑んだが、やはり楽にはつくらせてもらえない。かつて経験したことのない苦労と試練の連続だったが、多くの人の協力と執念で、ようやく成就した。
大仏が出来上がって、基壇の上に設置する為、クレーンで吊り上げられた時は、あたかも遥かなインドから飛んできたかのように見え、言いようのない感動を覚えた。

※図録「これも陶芸?ー陶壁から陶彫邪鬼まで藤原郁三の環境陶芸」より抜粋
 

陶製太鼓

原型

石膏型取り

窯詰め

施工


 
 

場所


益子大仏はここに設置されています。
 
観音寺
〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子2936−1
TEL:0285-72-2258